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2023.01.15 Sun  2023.01.16

わかりやすい令和4年の税制改正大綱

Webハック

わかりやすい令和4年の税制改正大綱

そもそも税制改正大綱とは

令和4年度の税制改正大綱について知る前に、まずは税制改正についておおよそ理解しておきます。

税制改定大綱とは世界情勢や国際的な経済状況にあわせて、日本の税制度はもとより課税対象や個別の税率など国内の税金に関する決まりを総括的に網羅してまとめたもの。

通常は毎年秋ごろから与党および政府内で議論が行われて、翌年度の予算編成を前提に12月中旬ぐらいまでにはまとめられる。 翌年1月から開始される通常国会には税制改正関連法案として提出され、税制改正大綱として反映されることになる。

国内外の景況感を踏まえた税制改正大綱が閣議決定されることで、国税および地方税の調整が行われ、国や地方自治体の税徴収の目安を立てることが可能になる。

毎年の税制改正は次年度の国民の家計や社会の消費活動、投資や貯蓄などや企業の事業展開などに対して大きな影響を与えることになり、対象もあらゆる税制度と国内外の情勢を慎重に議論する必要があるためスムーズに進まない場合が多く、政財界からも注視されるのが税制改正大綱となっている。

「令和4年度税制改正」(令和4年3月発行)


令和4年の税制改正大綱の概要

税制改正についておおよそ理解したところで、令和4年度の税制改正大綱ではどのような変更が施行されたかについて知っていきます。

2022年である令和4年度の税制改正大綱はが2021年12月10日に公開されました。その後の12月24日に令和4年度予算案が閣議決定されて、翌年の通常国会に提出されて2022年4月1日に正式に税制改正が施行されています。

令和4年度の税制改正では、

  • 個人所得課税
  • 資産課税
  • 法人課税
  • 消費課税
  • 納税環境整備

と5つの課税と納税環境について改定がされています。

今回の令和4年度税制改正資料には以下のように冒頭案内文が記載されています。

令和4年度税制改正では、成長と分配の好循環の実現に向けて、多様なステークホルダーに配慮した経営と積極的な賃上げを促す観点から賃上げに係る税制措置を抜本的に強化するとともに、スタートアップと既存企業の協働によるオープンイノベーションを更に促進するための措置を講じます。また、カーボンニュートラルの実現に向けた観点等を踏まえ、住宅ローン控除等を見直します。

引用:「令和4年度税制改正」(令和4年3月発行)より

税制改正はまったく影響がない場合も多い

税制改定の具体的な内容

個人所得課税
  • 住宅ローン控除制度の見直し

個人所得課税の改正では住宅ローン控除制度の見直しがされました。
もともと住宅ローンの利子よりも住民税控除率のほうが高くなる点が指摘されていましたが、今回の改訂で控除率が改正されています。
実質的には住宅を所有する人への増税を中心とした改正になります。

住宅ローン控除適用期限の4年延長

住宅ローン控除の適用期限が4年間延長されました。(対象:令和7年12月31日までに入居した者)

カーボンニュートラル実現への措置

2050年カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる)の実現へ向けた措置として、省エネ性能等の高い認定住宅等は新築住宅等や既存住宅をとわずに必要な住宅ローンの借入限度額が上乗せされ、令和6年以降の建築確認を受けた新築住宅は省エネ基準適合が要件化されました。

会計検査院の指摘対応と当面の経済状況への措置

会計検査院からの指摘への対応と当面の経済状況を踏まえた措置として、改正前の住宅ローンの控除率を1%から0.7%へ引き下げ、新築住宅等については控除期間が13年へと上乗せされます。
さらに、住宅ローン控除の適用対象者の所得要件は改正前が3,000万円以下だったのが合計所得金額2,000万円以下となり、所得条件は低くなっています。

逆に合計所得金額1,000万円以下の者については、令和5年以前の建築確認を受けた新築住宅であれば、床面積要件は40㎡以上に緩和されています。

資産課税
  • 贈与税の非課税措置の見直し

住宅取得等資金に係る場合の贈与税に対する非課税措置が見直されました。
非課税限度額の見直しでは、改正前に令和3年12月31日までだった適用期限を令和5年12月31日まで2年間延長されることが決まりました。
事実上は住宅取得等資金の贈与税の非課税限度額が見直しされたうえで増税措置が延長されたことになります。

適用要件について
  • 住宅面積:床面積50㎡以上240㎡以下の住宅用家屋
    (合計所得金額が1,000万以下の者の場合は下限40㎡以上に引き下げ)
  • 受贈者 :直系卑属(直系の子や孫、甥姪)
    (合計所得金額2,000万円以下など)
法人課税
  • 企業の賃上げ等に対する措置

大企業や中小企業を対象とした積極的な賃上げ等を促すために法人課税の軽減措置になります。

大企業等
  • 積極的に賃上げを促すための施策として、継続雇用者の給与総額を一定割合以上増加させた企業に対しては、雇用者全体の給与総額に対する前年度増加額分に対して最大30%までの税額控除が可能になる制度です。
    ただし2年間の時限措置であるため、2年後も継続されるかどうかは不明です。

    また、一定規模以上の大企業においては、マルチステークホルダーに配慮した経営への取り組み宣言をしていることが控除対象の要件となっています。

  • 雇用者の賃上げや人材投資(教育訓練費)に積極的な企業に対し、税額控除率が上乗せされます。

    大企業の要件としては、資本金10億円以上でさらに常時使用従業員数が1,000人以上が大企業の要件となり、自社ウェブサイトで取組み宣言を公表していることを経済産業大臣に届出するひつようがあります。

    人材投資に関しては、法人税確定申告書に教育訓練費等の明細書の添付が必須要件となり、基本控除率は15%となるが賃上げ対象の控除で10%の上乗せ措置適用を受けられるため、改正前の上限が合計20%だったのに対して改正後は控除上限が30%まで受けられる時限措置の改正になる。

    企業減税のように見受けられるが、実際は雇用者に対する企業資金が増えることになり、継続雇用における賃上げや人材投資が必要になるため、労働者の待遇改善や所得向上の施策と企業減税の2つの側面があるようです。

中小企業
  • 中小企業が全体的に労働者の雇用を守りつつ、積極的に賃上げや人材投資を促すために、税額控除率の上乗要件が見直され、控除率は最大40%までに引き上げられました。但し適用期限は1年間だけ延長される時限措置のため、令和6年3月31日までとなります。

教育訓練費増加等の要件(いずれか)

  1. 教育訓練費が対前年度増加率10%以上
    (確定申告書に教育訓練費の明細書の添付が必要)
  2. 中小企業等経営強化法の認定経営力向上計画における経営力向上証明は廃止

賃上げによる控除率15%への上乗せ措置適用がない場合の合計は控除率25%となる。

消費課税

消費税に関わる施策や制度の改正になりますが、実質的には現状維持かこれまで緩和されていた税率が実質的に上がることになります。

  • 自動車重量税キャッシュレス納付制度創設

自動車重量税の徴税制度においてキャッシュレスで納付できる制度が創設されました。

  • 規制改革実施計画(令和3年6月18日閣議決定)を前提として、自動車重量税申請者の利便性の向上のため、納付方法がクレジットカード決済による納付が可能になります。(令和5年1月~導入予定)
  • 航空機燃料税率見直し

航空機燃料税の税率が見直しされました。

  • 航空機燃料税の税率の特例措置において、税率の見直しおよび適用される期限が1年間延長されました。
  • 沖縄県産酒類酒税軽減措置の段階的廃止等

沖縄県産酒類に関わる酒税の軽減措置が段階的に廃止されることになります。

  • 沖縄復帰における激変緩和措置として設けられた沖縄県産酒類に係る酒税の特例は、沖縄返還から50年の節目を迎え、酒類製造業界から提言にもより、沖縄の酒類製造業の段階的な自立的発展に向けた施策の一環として、最長で10年の期間を設けて段階的な廃止が行われます。
納税環境整備
  • 税理士制度の見直し

社会情勢の変化とITインフラ環境の発展による、税理士業務や事業環境、納税環境の電子化に伴う状況変化への対応のため、以下のように税理士制度が変更されます。

概要のみの解説となりますが実質的には合理性の欠けた仕組みを最適化するための制度改善が主になるようです。

①ICT化とウィズコロナ時代への対応

令和5年4月1日より適用されるのは、本拠地が明示されていれば複数の税理士事務所を設置して、それぞれの事業所で業務を行うことが可能になるようです。

②多様な人材の確保

人材の確保における制度改正では、会計学科目の受験資格がすべて廃止されたことです。自己学習によって誰でも受験することが可能になるようです。
税法科目においても大学等での法律学または経済学に限定されていた条件が社会科学に属する科目が受験対象ということで緩和されています。

③税理士に対する信頼の向上を図るための環境整備

令和5年4月1日以後にした違反行為については、従来の懲戒処分逃れのための自主廃業が無効になり、在職期間中の税理士法違反行為は自主廃業しても懲戒処分に準じた措置が適用されることになり、官報公告や一定期間の再登録が不可となります。

  • 記帳義務を履行しない納税者等へ対応策

記帳義務を適正かつ適切に履行しない納税者等へは経費算入ができなくなる措置が講じられるようになります。

  • 所得税及び法人税の税務調査において証拠書類を提示せず、簿外経費での経費計上を主張する納税者などへの対処として、必要経費への不算入や損金不算入の措置が講じられます。
  • 財産債務調書制度の見直し

財産債務調書制度とは2015年度税制改正で創設された制度で、適正かつ適確な課税の仕組みを維持するため、一定基準以上の資産の余裕を持つ人を対象に、保有財産や債務状況を記載した書類提出を義務付ける制度となる。

今回の改正では、所得額を問わず総資産額10億円以上で提出義務者となる。

  • 改正では提出期限を後倒しにて提出義務者の事務負担を軽減し、適正課税な仕組みを保持するために、改正前の提出義務者の所得基準の2,000万超えと、財産基準の総資産3億円以上、又は有価証券等が1億円以上の2つの条件にくわえて、特に10億円以上の高額資産保有者は、所得基準は問わず無条件で提出義務者になりました。
税制改正は多岐の分野に分かれ影響しやすい

法人税申告やマイナカードへの影響と考察

令和4年度の税制改正大綱については前章までで紹介した通りとなりますが、法人税の確定申告やマイナンバーカードへの影響について簡単に考察をまとめて見ます。

法人税確定申告への影響

令和4年4月1日以後終了事業年度分、つまり令和4年4月30日以降決算分に関しては、令和4年度の税制改正が適応されるため、別表1、別表4、別表5(1)、別表5(2)などの法人税の確定申告書の様式が変更されています。
こちらは法人課税の控除対象が追加されたり控除割合の上限などが時限的に引き上げられた影響があります。

確定申告用のアプリなども非クラウド型でアップデートが必要な場合は、新しい税制改正にあわせたプログラム更新をする必要があるかもしれません。

時限的な措置も含めて1年または2年後とに税制が改正されるので、税率控除などの対象になりやすい企業は予め措置を講じておく必要がありますが、基本的に法人税控除対象とならない場合は、必要な法人税の計算が現行制度下できちんと間違いなく算出されていれば税務署から大きな指摘を受ける可能性は少なくなるようです。

マイナンバーカードとの関係

一見、マイナンバーカードと税制改正はあまり関係ないような印象があるかもしれませんが、かなり密接な関係にあると言えるでしょう。

マイナンバーと所得や資産課税などが一元的かつ、かなり明確に個人資産や企業資産の流れが把握されてしまいやすくなるため、これまで税制上の控除を容易に受けていた人たちも、資産や所得のリレーションがすぐに把握しやすくなってしまうため、従来のようなグレーな状態での節税対策等は、かなり困難な状況になるでしょう。

個人所得課税や資産課税、法人課税などにおいて従来のような節税対策を講じて控除を受けにくくなる可能性が極めて高くなるという点があります。

たとえ自分自身や法人格で調整しても、第三者のマイナンバーからの紐づけなどにより、所有資産や所得の動きはデータベースのリレーションでマイナンバーのみで把握することがすぐにできやすい点があります。

税制改正の控除対象等への該当についても放置しておくことができない可能性があるため、マイナンバーカードの普及が進めば進むほど、より税制改正の度に所得状況や所有資産状況を正確に把握しておく必要があるといえるでしょう。

税務署に対して知らなかったという理由は基本通用しないので、しっかり税制改正について対応しておく必要があるといえるでしょう。

課税控除のためのコストの方が大きい場合がある

結論としての税制改正

毎年変更される税制改正については、該当していれば確かに課税控除や節税効果を高める施策を検討できることがありますが、やはりいかに帳簿を軽くできる事業展開を視野にいれておくかが大切になるかもしれません。

税務上の事務対応は課税控除効果よりも予想以上販管費が生じてしまい、将来的に税率などの変動があった場合、そもそもの課税控除のメリットが全くなくなるどころか、反対に逆に納税負担が高くなってしまう場合があります。

大切なのは目先の課税控除による恩恵ではなく、長期的な視点でも税制改正を考察し事業展開にも大きな影響を配慮しておく必要があるかもしれません。

税制改正の影響を受けない状態が理想的かもしれない

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